
今日は、最近読んでいる本を2冊ご紹介。
職業としての小説家
村上春樹のエッセイ。最近、文庫化されました。
村上は国内のマスメディアには出てこないため、その実像があまり知られていません。
本書では、作家デビューから現在までの軌跡、長編小説の書き方などを村上本人の言葉で率直に語っています。
【目次】
- 小説家は寛容な人種なのか
- 小説家になった頃
- 文学賞について
- オリジナリティーについて
- さて、何を書けばいいのか?
- 時間を味方につけるー長編小説を書くこと
- どこまでも個人的でフィジカルな営み
- 学校について
- どんな人物を登場させようか?
- 誰のために書くのか
- 海外へ出て行く。新しいフロンティア
- 物語のあるところー河合隼雄先生の思い出
個人的には、「第2章 小説家になった頃」を興味深く読みました。
村上が、神宮球場でヤクルト戦を観戦していたときに、突然、小説を書こうと思い立ったという話は有名です。
これが、デビュー作『風の歌を聴け』の執筆につながるわけですが、同書は、いったん原稿を日本語で執筆した後に、英語で書き直し(タイプライターで打ち直し)、それを再度日本語に翻訳し直して完成したものだそうです。
村上の文体が、日本の純文学の系譜とは異なる(時に翻訳調といわれる)のは、このようなところに由来するのでしょう。
ところどころ拾い読みしている段階ですが、「文学賞について」など、村上がどのように考えているのか楽しみです。
ちなみに、村上春樹の著書は、小説よりもエッセイのほうが好みで、こちらも楽しい1冊です。
経済学の宇宙
尊敬する岩井克人先生の著書。
以前、このブログで紹介しましたが、じつはまだ読み切れていませんでした。
【目次】
- 生い立ち
- MIT留学
- エール大学
- 帰国
- 日本語で考える
- 再び米国へ
- 東京とシエナの間で
- 残された時間
岩井先生は自身を、「若くして経済学者として頂点を極め、その後直ちに没落した」と語ります。
当初は、経済学の主流である新古典派経済学、数理経済学の研究に取り組み実績をあげますが、その後、主流とはいえない貨幣論、資本主義論、法人論といった分野に研究テーマを移します。
ご本人はこれを「没落」といいますが、これらの(貨幣論、法人論など)の分野を切り開いたパイオニアとしての評価は決して色褪せるものではありません。
本書は、岩井先生の生い立ちから現在に至るまでを振り返りつつ、先生の思想遍歴と研究テーマの変遷を追った内容になっています。先生のこれまでの業績を、緻密かつ明晰な語り口で堪能できる1冊です。
なお、岩井先生といえばこちらも外せません。
シェークスピアの傑作『ヴェニスの商人』と貨幣の関係を論じた驚きの1冊。オススメです。
今日はこんなところで。
それではまた。
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■Editor’s Note
今日は終日、税務ソフトの研修会に出席。
■Today’s article
http://www.vox.com/science-and-health/2016/10/4/13155916/2016-nobel-prize-physics
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