「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」が公表されました。

AccountingStandard

企業会計基準委員会から「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」が公表されました。

今回は、その内容を簡単に紹介します。

 

はじめに

税金の会計処理や開示に関する会計基準としては、現行、以下の3つがあります。

  • 「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」(以下「監査上の取扱い」)
  • 「税効果会計に関するQ&A」(以下「Q&A」)
  • 「法人事業税における外形標準課税部分の損益計算書上の表示についての実務上の取扱い」(以下「法人事業税の取扱い」)

今回公表された公開草案は、基本的にこれらの基準の内容を踏襲したうえで、表現の見直しや処理の明確化を図ったものです。

 

主な内容

主な内容は以下のとおりです。

会計処理

  • 当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等については、法令に従い算定した額(税務上の欠損金の繰戻しにより還付を請求する法人税額及び地方法人税額を含む。)を損益に計上する。 
     
  • 過年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等について、更正等により追加で徴収される可能性が高く、当該追徴税額を合理的に見積ることができる場合、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」に定める誤謬に該当するときを除き、原則として、当該追徴税額を損益に計上する。 
     
  • 過年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等について、更正等により還付されることが確実に見込まれ、当該還付税額を合理的に見積ることができる場合、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」に定める誤謬に該当するときを除き、当該還付税額を損益に計上する 

 

追徴税額等の処理が明確化されています。

「監査上の取扱い」では、

 法人税等の更正、決定等による追徴税額及び還付税額は、過年度遡及会計基準及び過年度遡及適用指針に基づき処理することになる。なお、これらが過去の誤謬に起因するものでない場合には、損益計算書上、「法人税、住民税及び事業税」の次にその内容を示す名称を付した科目をもって記載する。 

 と規定されているだけでしたが、本公開草案では、

  • 追加で徴収される可能性が高い、または還付が確実に見込まれ
  • 金額を合理的に見積もることができる場合

には、当該追徴税額等を損益に計上すると、規定が具体化されています。

 

計上要件を細かく見ると、追徴の場合は「可能性が高い」とされているのに対し、還付の場合は「確実に見込まれる」ことが求められていますね。

この点、結論の背景では、以下のとおり説明しています。

本会計基準において、追徴税額に関する負債の認識の閾値と還付税額に関する資産の認識の閾値を異なるものとしているが、国際的な会計基準では、両者の認識の閾値を同じものとしているため、これらの会計基準における記載は、本会計基準のものと相違することとなる。
この点、今回の実務指針の移管においては、我が国のこれまでの会計慣行に照らした取扱いを重視し、監査保証実務指針第 63 号(引用者注:監査上の取扱い)における取扱いを踏襲することとしている。

要するに、現行の会計慣行に照らして、「保守主義の原則」を重視したということでしょう。

 

表示

  • 法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)は、損益計算書の税引前当期純利益(又は損失)の次に、法人税、住民税及び事業税などその内容を示す科目をもって表示する。
     
  • 事業税(付加価値割及び資本割)は、原則として、損益計算書の販売費及び一般管理費として表示する。ただし、合理的な配分方法に基づきその一部を売上原価として表示することができる。
     
  • 法人税、住民税及び事業税等のうち納付されていない税額は、貸借対照表の流動負債の区分に、未払法人税等などその内容を示す科目をもって表示する。 

いずれも現行の実務を踏襲した内容です。

 

個人的にはIFRSと同様に、住民税均等割を販管費に計上する改正がなされるか注目していたのですが、基本的に従前の実務を変える内容ではありませんでした。

 

適用

本公開草案は来年1月10日までコメントを受け付けた後、基準公表日後から適用。また、本基準の適用は、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当しないものとして取り扱うとのことです。

 

今日はこんなところで。
それではまた。

 

あとがき

■Editor’s Note

昨日は、かつての勤務先であるKPMGのAlumni Meetingに参加するため、マンダリンオリエンタル東京へ。
10年ぶりに再会したかつての同僚たちと歓談。楽しいひとときを過ごしました。 

■Today’s article

 I’m a Muslim, a woman and an immigrant. I voted for Trump.

 


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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区で開業している公認会計士・税理士です。大手監査法人、M&Aコンサル、税理士法人を経て2016年9月に独立開業しました。妻と息子の3人暮らし。海外サッカーと囲碁が大好き。英語、数学を勉強中。 ブログでは、税務・会計の話題や仕事術、日々の出来事などを気ままに綴ります。