【中小企業向け】法人税に関わる平成29年度税制改正大綱まとめ

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12月8日付で、政府自民党・公明党から平成29年度税制改正大綱が発表されました。

平成29年度税制改正大綱
第一 平成29年度税制改正の基本的考え方 安倍内閣はこの4年間、デフレ脱却と経済再生を最重要課題として取り組んできた。有効求人倍率は 25 年ぶりの高水準、失業率は ...

 

税制改正大綱とは、政権与党が発表する税制改正の原案のことで、今後、政府が国会に提出する税制改正法案のもととなるものです。

今回は、大綱に盛り込まれている内容のうち、 中小企業に影響のある法人税の改正点について解説します。

 

所得拡大促進税制の拡充

「所得拡大促進税制」とは、従業員に支払う人件費が一定金額以上増加した場合に税額控除が受けられる制度です。

ひらたくいうと、「賃上げしたら税金をまけてあげるよ」ということですね。

中小企業の場合、現行の税額控除割合は10%ですが、改正後は、一定の要件を満たせば最大22%の控除が可能になります。

【改正後の制度】

■適用要件

 要件1.(当期の雇用者給与等支給額ー基準雇用者給与等支給額)/ 基準雇用者給与等支給額 > 3%  

 要件2. 当期の雇用者給与等支給額 > 前期の雇用者給与等支給額

 要件3. 当期の1人当たり平均給与 > 前期の1人当たり平均給与

 要件4.(当期の1人当たり平均給与 ー 前期の1人当たり平均給与)/ 前期の1人あたり平均給与 > 2%   

■税額控除額

・要件1〜3を満たす場合:
(当期の雇用者給与等支給額ー基準雇用者給与等支給額)×10%

・上記に加えて要件4も満たす場合:
(当期の雇用者給与等支給額 ー 前期の雇用者給与等支給額)×12%

従来は上記10%の税額控除のみでしたが、改正後は要件4を満たす場合に、12%の税額控除を追加で受けることが可能になります。

 

中小企業向け投資促進税制

中小企業向けの投資促進税制は、以下の3つの制度に整理されることになりました。

中小企業経営強化税制の創設

従来の「生産性向上設備投資促進税制」に代えて、あらたに「中小企業経営強化税制」が創設されます。

これは、最新の機械や生産性の改善に寄与する設備を一定金額以上取得した場合に、税額控除等を受けられる制度です。

【改正後の制度】

■対象法人

青色申告書を提出した中小企業者等で経営力向上計画の認定を受けた者

■対象資産

・生産性向上設備 
 販売開始から一定期間内のもので、旧モデル比で年1%以上生産性が改善する機械装置等

・収益力強化設備
 年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれることにつき、経済産業大臣の確認を受けた機械設備等

■特別償却・税額控除 

 即時償却または7%の税額控除資本金3000万円以下の法人は10%の税額控除

■適用年度 

 平成29年4月1日から平成31年3月31日までの事業供用に適用 

経営力向上計画の認定を受けた者」に対象法人が限定されている点が、従来の制度との相違点になっています。

今後、この制度の適用を考えている方は注意しましょう。

 

中小企業等投資促進税制の延長

「中小企業等投資促進税制」は、中小企業が一定金額以上の機械装置等を取得した場合に、税額控除等を受けられる制度です。

大綱では、対象資産から器具備品が除かれています。

【制度の内容】

■対象法人:資本金1億円以下の法人(中小企業)

■対象資産:一定金額以上の機械装置、工具、ソフトウェア、車両(器具備品は含まれない

■特別償却・税額控除:取得価額の30%特別償却(資本金3000万円以下の法人は7%の税額控除

■適用期間:平成31年3月31日まで

適用期間が2年間延長になります。

また、従来は、PCや複合機など(器具備品)も対象資産だったのですが、今後は「中小企業経営強化税制」または次に説明する「中小商業サービス活性化税制」に該当しない限り、税額控除等は受けられなくなります。

 

 

中小商業サービス活性化税制

中小商業サービス活性化税制は、商業・サービス業等を営む中小企業者等が、経営改善設備を取得等した場合に、税額控除等を受けることができる制度です。

【制度の内容】

■対象法人:資本金1億円以下の法人(中小企業)

■対象業種:商業・サービス業

■対象資産:経営改善設備
なお、経営改善設備とは、 認定経営革新等支援機関等から経営の改善に資する資産として書類に記載された器具及び備品(1台30万円以上のもの)、建物附属設備(1台60万円以上のもの) をいいます。

■特別償却・税額控除:取得価額の30%特別償却(資本金3000万円以下の法人は7%の税額控除

■適用期間:平成31年3月31日まで

認定経営革新等支援機関等とは、税理士や公認会計士などで中小企業庁の認定を受けた者のことです。

 

制度内容は従前と変わりませんが、適用期間が2年間延長されました。

 

なお、以上3つの制度による税額控除は、その合計額が法人税額の20%を上限とします。

従来の税額控除限度額は、各制度ごとに判定できましたので、この点は増税要因になります。

 

大企業並み中小企業の中小企業特例適用除外

平均所得金額(過去3期間の所得金額の平均)が15億円を超える場合、その年度については、中小企業特例の適用を除外するとされました。

適用除外となる特例措置には、次のようなものがあります。

  • 中小法人の軽減税率の特例(800万以下15%)
  • 中小企業投資促進税制
  • 中小商業サービス活性化税制
  • 少額減価償却資産の一時償却

など

昨年、経営再建中のシャープが、資本金を1億円に減資して、中小企業特例の適用を受けようとしたとの報道がありました。

結局、当時の経産相から批判を受け、実現には至りませんでしたが、この改正が実現すると、大企業並みの所得規模がある法人については、資本金を減らしたとしても中小企業特例は受けられなくなります。

そもそも資本金という名目上の尺度で、中小企業か大企業かを分類することに無理があります。

今回、課税所得というより実質的な尺度を採用したことは、課税の公平に向けて一歩前進したものと評価して良いでしょう。

 

おわりに

以上、中小企業に影響がある主な改正内容について、見てきました。

所得税における配偶者控除の見直し、資産税でのタワーマンションの評価方法の見直しなどに比べると、法人税関係の改正は既存の制度に手を加えただけの小幅なものに留まった印象です。

みなさんの参考になれば幸いです。

 

大綱の原文を確認されたい方はこちら⇒平成29年度税制改正大綱(自民党公式Webサイト)

 

今日はこんなところで。
それではまた。

 

あとがき

■Editor’s Note

昨日は監査法人時代の同僚と飯田橋で忘年会。

昔話で盛り上がりました。 

■Today’s article

 How Exercise Might Keep Depression at Bay


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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区で開業している公認会計士・税理士です。大手監査法人、M&Aコンサル、税理士法人を経て2016年9月に独立開業しました。妻と息子の3人暮らし。海外サッカーと囲碁が大好き。英語、数学を勉強中。 ブログでは、税務・会計の話題や仕事術、日々の出来事などを気ままに綴ります。