うっかり捨てると思わぬペナルティが!書類の保存期間について確認しよう。

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先日、つくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道株式会社が、領収書を1年で廃棄していたため、国税当局から是正指導を受けたとの報道がありました。

つくばエクスプレス 領収書の控えを1年で廃棄 国税当局が法人税法違反で指導 ...
つくばエクスプレス(TX)を運営する「首都圏新都市鉄道」(東京都台東区)が、法人税法で7年間保管するよう定められている領収書の控えを1年間で廃棄していたこと...

同社によると、廃棄していたのは、乗客が購入した定期券や回数券などの領収書の控え。平成17年8月の開業以来、社内規定で保管期間を1年としていた。
国税当局が今年8月、印紙税の納付状況について調査した際に指摘。同社は9月に社内規定を修正した。印紙税の納付については問題はなかったという。
国税庁によると、企業が領収書の控えを7年間保管しないのは同法違反だが、罰則はない。同社は「法人税法施行規則の認識違いがあった。今後は適切な書類管理をしていきたい」とした。 

2016/12/2 産経新聞より

証憑書類の保存期間は、お客様からよくご相談される事項のひとつです。

この機会にあらためて、会社を経営する上で求められる書類の保存期間について確認しましょう。

 

保存が必要な書類の種類

会社を経営する上で保存が義務付けられている書類は、以下のとおりです。

  • 会計帳簿
    • 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳など
  • 証憑書類
    • 請求書、領収書、納品書、見積書など
  • 決算書
    • 貸借対照表、損益計算書、株主資本変動計算書、個別注記表など
  • 税務関係書類
    • 税務申告書、申請書・届出書など
  • その他
    • 定款、登記関係書類、株主名簿、許認可書類、重要な契約書など

こう見ると、ずいぶんたくさんの書類の保存が必要ですね。

 

保存期間

法人税法および会社法で定められた保存期間をまとめると、以下のとおりになります。

  • 決算書・会計帳簿:10年(法人税法・会社法)
  • 証憑書類:7年(9年)(法人税法)
    ※カッコ書きは税務上の欠損金が発生した年度の書類の保存期間

基本的に会社法では10年保存、法人税法では7年保存が原則ですので、ともに保存が求められる書類の場合は、長い方(会社法)の保存期間に従わなければなりません。

したがって、現状では、決算書・会計帳簿については10年、証憑書類については7年(欠損金がある会社については9年)保存する必要があります。

なお、平成28年度税制改正において、欠損金の繰越期間が10年に延長されることに伴い、平成30年4月1日以後に欠損金が生じる場合、帳簿書類の保存期間が10年に延長されます。

よって今後は、欠損金保有会社の場合、これらの書類は10年保存と覚えておけば良いでしょう。

 

また、書類の中でもとりわけ重要な、 

  • 税務関係書類
    • 税務申告書、申請書・届出書など
  • その他
    • 定款、登記関係書類、株主名簿、許認可書類、重要な契約書(不動産売買、株主間協約など)

については 、永久保存とお考えください。

 

保存方法

紙による保存が原則です。

マイクロフィルムや電磁的記録による保存も認められているのですが、導入にコストがかかったり、システム対応が必要であったりということで、あまり普及が進んでいないのが現状です。

大企業であればともかく、中小零細企業での利用は難しいでしょう。

 

7年分ないし10年分の経理書類を保存するには、かなりの保管スペースが必要になります。

もう少し使い勝手の良い制度が認められると良いのですが・・・

 

きちんと保存しないと・・・

それでは、上記の保存期間を守らなかった場合、どうなるでしょうか?

消費税法上の問題

消費税法では、仕入税額控除の適用要件として、課税仕入れの事実を記載した帳簿と請求書の両方を保存する必要があります。

つまり、帳簿や証憑書類をきちんと保管していないと、税務調査などで仕入税額控除を否認されても文句が言えなくなるのです。

 

消費税では、売上に係る消費税から仕入に係る消費税を差し引いた差額を、税務署に納付します。

たとえば、700万円の商品を仕入れて、1000万円で販売した場合、

  • 売上に係る消費税  80万円
  • 仕入に係る消費税  56万円
  • (差額)納付税額  24万円

ですので、差額の24万円を消費税として納付します。

 

しかし、帳簿書類の不備を指摘され、仕入税額控除を否認されると、以下のようになります。

  • 売上に係る消費税  80万円
  • 仕入に係る消費税    0万円
  • (差額)納付税額  80万円

つまり、消費税の計算上差し引いていた仕入れに係る消費税分を、追加で納付しなければならなくなるのです。

これは大変な痛手です。

 

法人税法上の問題

帳簿書類の保存は、青色申告の要件の1つとなっているため、青色申告が取り消される恐れがあります。

青色申告が取替されると、青色申告に認められている以下のような特例が受けられなくなります。

  • 青色欠損金の繰越控除
  • 欠損金の繰戻還付
  • 租税特別措置法による優遇など

特に、欠損金の繰越が認められないというのが、中小企業にとっては一番のデメリットです。

 

おわりに

以上、会計帳簿や証憑書類など、経理関係書類の保存期間について解説しました。

決算書・会計帳簿は10年、証憑書類は7年保存が原則

欠損金のある会社は両方とも10年保存

と覚えておけば良いでしょう。

 

書類保存は、消費税の仕入税額控除や青色申告の要件です。

保存期間を誤って、思わぬペナルティを受けることのないよう注意しましょう。

 

今日はこんなところで。
それではまた。

 

あとがき

■Editor’s Note

週末の忘年会ではしゃぎすぎたせいか、ちょっと風邪気味_| ̄|○
昨日はブログ更新後、家でおとなしくしていました。 

■Today’s article

 Last splash: Immodest Japanese tradition of mixed bathing may be on the verge of extinction


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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区で開業している公認会計士・税理士です。大手監査法人、M&Aコンサル、税理士法人を経て2016年9月に独立開業しました。妻と息子の3人暮らし。海外サッカーと囲碁が大好き。英語、数学を勉強中。 ブログでは、税務・会計の話題や仕事術、日々の出来事などを気ままに綴ります。