支払調書って取引先に発行する必要があるの?

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年明け1月のこの時期。会計事務所は支払調書の作成で忙しい時期です。

今回は支払調書にまつわるよくある誤解を取り上げます。

テーマは、取引先への支払調書の発行義務です。

 

支払調書とは?

企業や個人事業主は、個人(いわゆるフリーランスの人)のうち、弁護士や税理士、デザイナーなど一定の職種に該当する人に対して報酬を支払った場合、支払時にあらかじめ所得税を源泉徴収し、国に支払う必要があります。

そして、翌年1月には、個人に支払った報酬等を集計した上で、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を発行し、税務署へ提出することが義務付けられています。これを一般に「支払調書」と呼んでいます。

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税務署サイドでは、この支払調書をもとに、報酬の支払先である個人がきちんと確定申告をしているかどうかをチェックしています。

 

支払調書についてのよくある誤解

支払調書を提出しなければならないのは、報酬の支払い元(源泉徴収義務者)であり、提出先は「税務署」になります。

「報酬を支払う側」が「税務署」へ提出するものです。

 

この点で、よく誤解があるのが、「報酬を受け取った個人が確定申告にあたり、支払調書を添付しなければならない」というもの。このため、確定申告の時期になると、外注先から、支払調書を送ってほしいという依頼を受ける会社さんも多いでしょう。

古くからの慣習として、外注先の個人に対して支払調書を交付する実務が、長年行われてきています。

 

しかし、確定申告の添付書類に、報酬等の支払調書は含まれていません。つまり、必ず添付しなければならない書類ではないのです。

また、報酬を支払う側にも、支払先に対する支払調書の交付義務はありません

 

フリーランスの方の中には、支払調書をもとに売上を集計している方もいるようですが、支払調書をもとに経理をするのはやめましょう。

数字の把握が遅れますし、そもそも支払調書の金額が正しいとは限りません(もちろん、税務署に提出する書類ですのでチェックはしているでしょうが、手計算だと間違いも多いです)。 

売上が立つ都度、売上の金額、源泉所得税の有無と金額は必ず確認するようにしましょう。

 

支払調書の交付を止めたAmazon

支払調書については、少し前、ネット通販の巨人Amazonが、アフィリエイトに関わる支払調書の交付をやめたことが話題になりました。

【Amazonアソシエイト】支払調書の送付停止がちょっとした騒動に。
昨年の12月頃に天下のアマゾンからメールが来た人は多いはずです。「支払調書の送付停止??」だと?えっもしかして報酬止まっちゃうの!?と勘違いした人もいるかもし...

 

Amazonではアフィリエイト参加者への支払調書の送付を、2013年分から停止しています。

この取扱については、Q&AでAmazonの考えが公開されています。

(1)支払調書の交付は、支払者の義務ではないのですか?
答: 支払調書の提出について所得税法が義務付けているのは支払者の所轄税務署への提出のみに限られております。アソシエイト・プログラム参加者様への送付は法律上義務づけられておりません。(所得税法第225条)

(2)これまで支払調書を確定申告書に添付していました。今後、送付していただけないとしたら、確定申告書への添付はどのようにしたらよいのですか?
答: 支払調書は、確定申告書の添付書類として所得税法において提出が義務付けられている書類には該当しません。 弊社より源泉徴収された金額はアソシエイトセントラルの支払履歴確認ページにてご確認頂けます。(所得税法第120条第3項)

(3)確定申告をしたところ、税務署より支払調書の添付を求められました。交付してもらえますか?
答: 確定申告書に添付が義務付けられている書類は所得税法第120条に列挙されており、支払調書は該当しません。その旨をご説明頂き、弊社による源泉徴収税額の確認を求められた場合にはアソシエイトセントラルの支払履歴確認ページをご利用下さい。

 

 (1)と(2)は先に説明したとおりです。

  • 支払調書は「支払元が税務署に提出する書類」であり、支払先の個人に対して交付するものではないこと
  • 支払調書は、確定申告書に添付が求められる書類ではないこと

と明確に言っていますね。

(3)は税務署から支払調書の提出が求められた場合についてですが、ぼくはそのような事例に遭遇したことはありません。

税務署員のなかには、単に慣習として行われているにすぎない支払調書の添付を、納税者の義務と勘違いしている場合があるのかもしれません。受け取った報酬を確認したいということであれば、売上明細などを提出すれば問題ないでしょう。

 

おわりに

以上、支払調書をめぐるよくある誤解をテーマにとりあげました。

報酬の支払先に対して支払調書を交付する実務は、単に慣習として行われているに過ぎず、法令上の根拠があるものではないということがおわかりいただけたと思います。確定申告書への添付も不要です。

 

とはいえ、長年の慣習として続けられているものですので、急にやめるわけにも・・・という方もいらっしゃるでしょう。

Amazonは通販業界の圧倒的強者だから、このようなドライな対応ができたともいえます。

とはいえ、個人の外注先が多い場合には、かなりの手間がかかるというのも事実です。

誤解があるまま続けているケースも多いですので、報酬の相手先や税理士も含めて再考してみてはいかがでしょうか。

 

今日はこんなところで。
それではまた。

あとがき

■Editor’s Note

昨日は、ブログ更新後、税理士会支部の新年会に出席して、美味しい和食に舌鼓。
ビンゴでは景品(カレーセット)をゲット!幸先の良いスタートです。

■Today’s article

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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区で開業している公認会計士・税理士です。大手監査法人、M&Aコンサル、税理士法人を経て2016年9月に独立開業しました。妻と息子の3人暮らし。海外サッカーと囲碁が大好き。英語、数学を勉強中。 ブログでは、税務・会計の話題や仕事術、日々の出来事などを気ままに綴ります。