DCF法による株価評価の基本〜将来価値と現在価値

前回の記事では株価評価の3手法

  • インカムアプローチ
  • マーケットアプローチ
  • コストアプローチ

の基本的考え方について解説しました。

今回から数回にわたって、インカムアプローチの代表的な手法である「DCF法」について、基本中の基本から丁寧に説明します。

DCF法とは

インカムアプローチは会社の利益やキャッシュフロー(現金収支)に基づいて、株価を評価する方法であると、前回記事で説明しました。

DCF法(Discouted Cash-Flow Method)はインカムアプローチの代表的な手法で、将来発生するキャッシュフローを現在価値に割り引いて(discount)株主に帰属する価値(株式価値)を評価します。

ここで、キャッシュフロー、現在価値というキーワードが登場しました。

以下で説明しましょう。

将来価値と現在価値

誰かから現金100万円を貰える場合に、 

  • A: 今すぐ100万円もらう
  • B: 1年後に100万円もらう

のどちらが得でしょうか?

感覚的にはAの方が得だと思うでしょう。

これは感覚的だけでなく、論理的にも間違いではありません。

100万円を今すぐもらい、それを即座に銀行に預ければ、1年後には利子がついて返ってきます。
仮に銀行の利子が5%だとすれば、1年後には今の100万円は105万円になります。

1年後の現金残高を比較すると、
 A:105万円 > B:100万円
となるので、今すぐもらった方が得なのです。

ここで、1年後の残高を比較してAのほうが得と判断しましたが、この1年後の残高のことを将来価値(Future Value, FV)といいます。

一般に、何かを比較する場合には、比較対象を共通の土俵に乗せる必要がありますが、ここでは「将来価値」という共通の土俵で比較を行っているわけです。

逆に、両者の現時点の価値を計算して比較することもできます。その場合、現時点の価値、すなわち現在価値(Present Value, PV)で比較を行うことになります。

現在価値の計算

DCF法では、意思決定を行う現時点での価値、すなわち現在価値を計算します。

それでは、現在価値はどのようにして計算すれば良いのでしょうか。

上記の例を考えれば難しくありません。

A案の将来価値は、

  • 現時点 100万円 → 1年後 100万円×(1+0.05)=105万円

つまり、現時点の100万円に(1+0.05)を乗じることにより計算しました。
※B案の100万円は1年後にもらえる100万円なので、そのまま将来価値を表しています。

したがって、現在価値を計算する場合、この逆の計算をすればよいわけです。

すなわち、

  • A案の現在価値=将来価値105万円÷(1+0.05)=100万円 
  • B案の現在価値=将来価値100万円÷(1+0.05)≒95万円

となります。

現在価値で比較すると、
 A:100万円 > B:95万円
となり、やはりA案のほうが得であることが分かります。

将来価値から現在価値を求める際に(1+0.05)で割っていますが、この計算を割引計算といい、割引計算に用いる利子率(この例では5%)のことを割引率といいます。

DCF法の計算の基本的考え方は、将来のキャッシュフローを適切な割引率で割引いて、現在価値を求めるというものです。

現在価値の計算は以上のとおりです。

次回は、もうひとつのキーワードである「キャッシュフロー」について説明します。

 


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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区で開業している公認会計士・税理士です。大手監査法人、M&Aコンサル、税理士法人を経て2016年9月に独立開業しました。妻と息子の3人暮らし。海外サッカーと囲碁が大好き。英語、数学を勉強中。 ブログでは、税務・会計の話題や仕事術、日々の出来事などを気ままに綴ります。