AIが進化した後の会計事務所について夢想してみた。

20170205

税務サービスへの人工知能(AI)の利用に、米国で大きな動きがありました。

 

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米税務コンサル最大手H&R BlockがIBMと提携

米で人工知能による税務サービス提供へ…税理士は必要なくなる!?

複雑な年末調整の作業を、人工知能(AI)が代替してくれるサービスが米国で登場する。米税務コンサルティング企業・H&Rブロックが、IBMとパートナーシップを締結。税額控除や還付など複雑な税務サービスに活用する計画だと、米国各メディアが報じた。

ワトソンは74000ページ分の米連邦税法と数千件の税金関連質疑、60年分の所得税申告書などを学習した後、来週からH&Rブロックの拠点100カ所以上で、税務サービスを提供する予定となっている。

ワトソンは顧客の相談内容をもとに、クラウドサービスを利用して税額控除を計算。税理士の業務を支援する役割をはたす。H&Rブロック側は、スーパーボールの中継時間に60秒のTV広告をうち、新サービスを紹介する予定だ。
出所:ROBOTEER 

米国最大手の税務コンサル会社H&R BlockがIBMと提携し、人工知能(AI)ワトソンを税務申告業務に利用するというものです。

会計事務所への初のAI導入事例として注目を集めています。

 

会計事務所においてAIはどのように利用される? 

このニュースは、ニューヨークタイムズやFortuneなどの主要メディアでも報道されています。

NYT:IBM Gives Watson a New Challenge: Your Tax Return

Fortune:H&R Block Is Enlisting IBM’s Watson To Help With Your Taxes

 

これら記事によると、

  • Watsonは74,000頁分の連邦税法、数千件の質疑応答、同社が保有する6億件の税務関係のデータを学習
  • 顧客から聞き取った収支の状況や、職業、不動産取引の有無などをインプットすると、ワトソンは節税や適用可能な所得控除についてアドバイスしてくれる
  • 昨秋からH&R Block社の150の支店でパイロット運用を開始済み。顧客からは好意的な反応を得ているが、なかには個人の税務情報がワトソンに取得されることを心配する人もいる
  • 4月15日の申告期限までに、全米10000の支店で利用可能
  • ワトソンの導入に伴い、新たにHPのモニターを7万台導入。顧客には一人2台のモニターを使って説明する。
  • 2月5日のSuper BowlのCM枠を使ってキャンペーンを実施

 

記事を読むと、ワトソンは申告書そのものを作成するのではなく、スタッフの判断を支援する目的で使用されるようです。

顧客から聞き取った情報に基づき、適用可能な税額控除・所得控除の情報や、還付金の見込額などを教えてくれるということ。

上記のような膨大な情報を記憶し、必要に応じて取り出すのは人間には不可能ですから、会計事務所にとって大変有益なシステムです。

 

ですが、申告書を作ったうえで申告内容の最終判断をするのは、あくまで人間です。

とすると、表題の「税理士は必要なくなる?」というのは、言い過ぎな気がします。

 

AIが進化すると会計事務所はどうなる?

しかし、AIの進化がさらに進むとどうでしょう。

たとえば会計ソフトと税務ソフトにAIが搭載され、人の手を介さずとも仕訳処理から申告書までが一気通貫で作成できる世界を想像してみます。

そのとき、会計事務所という組織に起きる変化は、組織のミドル層の消失(不要化)ではないかと想像します。

 

上記のような一気通貫のシステムが出来たとして、最後まで人の手に残るのは、

  • 現金取引などデジタルデータ化されていない取引の入力処理
  • 申告内容の最終判断とクライアント対応

の2つでしょう。

 

前者は、これまで会計事務所のアシスタントや若手スタッフが担っていた領域です。

現金取引や経費の未払計上などは、預金取引とは異なりデジタルデータ化されていないないので、手作業で会計ソフトへの入力する必要があります。この部分は、いくらテクノロジーが進歩したとしても、依然として人手によるほかありません。

 

また、申告書の最終判断が、会計事務所のトップマネジメントの仕事として残るのは当然ですね。

クライアント対応も、基本的には組織のトップが担うべき役割です。

 

とすると、会計事務所の仕事のうち不要になるのは、これまでミドル層(中間管理職)が担っていた職務領域、たとえばスタッフの作業内容をチェックしたり、税務上の論点について調査するといった仕事です。

というのも、仕訳のチェックだとか個別論点の調査は、ビッグデータを有するAIの最も得意とする領域だからです。

AIの進化とともに、真っ先に代替される可能性が高いと考えて良いでしょう。

 

AIが進化した世界では、トップマネジメントとアシスタントだけが残り、中間層は消失する。これが僕の見立てです。

 

以上、米IBMワトソンのニュースをきっかけに、AIが進化した世界の会計事務所について考えてみました。

 

今日はこんなところで。

それではまた。

 

【参考】

 

あとがき

■Editor’s Note

今日は午後から、豊洲のららぽーとへ。
お昼はそばを食べた後、書店をぶらぶらと。 

■Today’s article

 今日はお休みします。

■Official Web Site

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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区で開業している公認会計士・税理士です。大手監査法人、M&Aコンサル、税理士法人を経て2016年9月に独立開業しました。妻と息子の3人暮らし。海外サッカーと囲碁が大好き。英語、数学を勉強中。 ブログでは、税務・会計の話題や仕事術、日々の出来事などを気ままに綴ります。