DCF法による株価評価の基本~キャッシュフローとは?

前回はDCF法のキーワードのうち「現在価値」について説明しました。

今回は、もうひとつのキーワード「キャッシュフロー」を取り上げましょう。

キャッシュフローとは

キャッシュフロー(Cash Flow)とは、その名のとおりお金の流れのことです。

損益計算書の利益(営業利益や当期利益)が、企業会計のルール(発生主義といいます)に従って計算されるのに対し、キャッシュフローは、実際の現金の出入りに基づき計算されます。

「利益」は会計のルールに従って計算されますが、ルールの適用にはルールの「解釈」が必要なため、その適用のされ方には幅があります。そして、解釈が行き過ぎルールを逸脱した適用が行われると、「粉飾決算」となるわけです。

一方で、キャッシュフローは実際のお金の出入りのことですので、「解釈」の余地はありません。早い話が、通帳を見れば疑いの余地もなく把握できます。

以上を踏まえて、ビジネスの世界では「利益は意見を表し、現金は真実を表す」という言い方がされます。

「利益」は経営者によって操作されうるが、キャッシュフローにはそのような裁量が働く余地がないことを示す言葉です。

キャッシュフローをどのように計算するのか

DCF法では、キャッシュフローを現在価値に割り引いて株主に帰属する価値(株式価値、株価)を評価するといいました。そして、キャッシュフローはつまるところ現金の収支を表します。

それでは、DCF法の計算根拠となるキャッシュフローはどのように計算するのでしょうか。

DCF法のもととなるキャッシュフローは、フリーキャッシュフロー(FCF)と言われますが、それは以下のように計算します。

FCF=税引後営業利益+減価償却費±運転資金の増減額-設備投資額

フリーキャッシュフローとは、税金や設備投資など企業活動に必要な資金を支払った後、借入金の返済や配当の支払いなど財務活動に充てられる資金のことを指すと考えてください。

そうすると、この算式の意味が理解できるはずです。

FCF算式の具体的な説明

まず、FCFの出発点は税引後の営業利益です。

これに資金流出を伴わない費用である減価償却費を足し戻します。営業利益の計算上、減価償却費は差し引かれていますが、これは支出を伴わない費用なので、キャッシュベースに調整するために足し戻すわけです。

さらに、運転資金の増減(売掛金・棚卸資産・買掛金の増減)を加減算します。これは、やや理解するのが難しいかもしれませんが、利益とキャッシュフローに差が生じる理由を考えればわかります。

掛売上や掛仕入のケースを考えればわかるように、収益・費用は現金の収支に先行して計上されます(現金の収支は売掛金の回収、買掛金の支払いのタイミングで発生します)。つまり、掛売上(売掛金)や掛仕入(買掛金)が発生した分だけ、利益とキャッシュフローにずれが生じることになります。これを調整するのが「運転資金の増減」と理解してください(棚卸資産も同様の考え方です)。

ここまでで設備投資前のキャッシュフローが計算されます。

ここから事業活動にあたって必要な設備投資額を差し引きます。設備投資は資金流出はあるものの、会計上は費用とならない(固定資産に計上される)ため、キャッシュフローの計算上は差し引く必要があるのです。

 

以上の要領でFCFを計算します。

DCF法は将来のキャッシュフローをもとに計算しますので、実際は、会社の事業計画をもとに、計画期間中の各年度について、上記算式に基づきFCFを計算することになります。

長くなりましたので、今回はこの辺で。

次回は、キャッシュフローを現在価値に割り引くための割引率について説明しましょう。

(それではまた)


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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区で開業している公認会計士・税理士です。大手監査法人、M&Aコンサル、税理士法人を経て2016年9月に独立開業しました。妻と息子の3人暮らし。海外サッカーと囲碁が大好き。英語、数学を勉強中。 ブログでは、税務・会計の話題や仕事術、日々の出来事などを気ままに綴ります。