金融検査マニュアルの実質廃止〜検査の重点は自己査定からビジネスモデル重視へ

20170227

 

金融庁が金融検査マニュアルを実質廃止。金融検査は持続可能なビジネスモデルを重視との報道です。

 

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金融検査マニュアルの実質廃止

先週末、金融検査マニュアルが実質廃止されるとの報道がありました。

銀行検査、稼ぐ力に重点 金融庁がマニュアル刷新へ
 金融庁は金融機関への検査・監督を抜本的に見直す。不良債権の扱いや管理体制の不備を細かくチェックする従来の手法を転換。金融機関に創意工夫を促し、人口減少や低...

金融庁は金融機関への検査・監督を抜本的に見直す。不良債権の扱いや管理体制の不備を細かくチェックする従来の手法を転換。金融機関に創意工夫を促し、人口減少や低金利環境下でも持続的に収益をあげられるモデルづくりを後押しする。検査のための手引書も形式的な問題を指摘するためのものから、本質的な解決策を探るための道具に衣替えする。 

 

 金融庁の発足後20年弱にして、金融検査の大きな方針転換です。

 

金融庁の問題意識

今回の大きな政策転換のもととなる問題意識については、「金融モニタリング有識者会議」の会議資料に詳しいです。

以下、同資料を概観してみましょう。

これまでの金融検査

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出所:金融モニタリング有識者会議 第1回会議資料

 

金融庁の前身である金融監督庁が発足したのは1998年。当時は山一證券、日本長期信用銀行という大手金融機関が相次いで倒産し、未曾有の金融危機が吹き荒れていた時期にあたります。

金融危機と軌を一にして、金融機関の不良債権比率は急増し、銀行の不良債権処理が金融安定化のための大きな課題になっていました。

2001年には竹中平蔵氏が、金融・経済財政担当大臣に就任。竹中大臣のもと、厳格な金融検査が実行され、不良債権処理の徹底が図られます。

 

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出所:平成28年度版中小企業白書

こちらは、1998年からの不良債権比率の推移です。

98年当時は、都市銀行で5%、信用組合で12%にまで上昇していた不良債権比率が、14年度にはそれぞれ1.2%、7.2%にまで低下しています。

上記資料にあるとおり、不良債権問題が収束したことが窺えます。

なお、2000年から2001年にかけて、都市銀行の不良債権比率が急増していますが、これは金融検査の厳格化に伴い、正常債権から不良債権へランクダウンされた先が増えたことによるものでしょう。 

 

ちなみに、2000年当時は僕が監査法人に入所した時期に重なります。

入所後、都市銀行や信用金庫の会計監査に携わり、金融検査への対応にも何度か関わりましたが、当時の金融検査は大変厳しいものでした。

冒頭の資料にもあるとおり、検査の焦点は資産査定(自己査定)。とりわけ貸出金の評価と繰延税金資産の回収可能性については、徹底的に見られました。検査官と監査法人の面談も頻繁にあり、監査法人の見解に不合理な点があれば、容赦なく突っ込まれました。

当時下っ端だった私は、インチャージ(監査現場のリーダー)の指示で、膨大な自己査定資料をひたすらコピーしていたのが懐かしい思い出です。

 

外部環境の変化

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出所:金融モニタリング有識者会議 第1回会議資料

しかし、金融機関をめぐる環境は大きく変わっていきます。

上記資料では3つの環境変化を挙げていますが、とりわけ大きいのは「低金利の継続」でしょう。

日本が成熟社会に移行し、資金需要が資金供給を下回り、資金がだぶついている状態です。

 

仕事柄、金融機関の方とお話する機会も多いのですが、みなさん低金利の環境下、いかにして収益を確保していくかに難儀されています。

保険や投信の販売に力を入れたり、顧客の掘り起こしに注力したり、金融機関によって対応は様々ですが、みなさん熾烈な競争に生き残るために必死です。

かつては不良債権をいかにして切り離すかが焦点だったわけですが、今は有望な先に他行に先んじて貸出を行うことが求められています。ベクトルが真逆なわけです。

 

これからの金融検査

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以上のように変化する環境下、金融検査の目的は変わらざるを得ません。

従来は、不良債権・金融危機問題の収束を目的として資産査定が検査の中心でしたが、上記のような環境変化を受けて、金融機関として持続可能なビジネスモデルをどのようにして実現するかが検査の主眼となる見込みです。

そこでは、担保や保証といった融資の保全状況だけではなく、事業の成長性や営業力等の事業性を評価した融資が実行されているか、顧客のニーズに応じた資産運用が提案されているかといった視点が重視されています。

 

実際、最近行われている金融検査では、資産査定に対する検査はほとんどなされず、多くの時間が経営陣に対するヒアリングに割かれているようです。「経営陣として自行のビジネスモデルをどのように考えているか」が問われているといっていいでしょう。

 

今日はこんなところで。
それではまた。

 

あとがき

■Editor’s Note

今日は早めに仕事を切り上げて、渋谷で書店を散策。 

■Today’s article

New Imperial era name likely to be decided without public consultation

■Official Web Site

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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区で開業している公認会計士・税理士です。大手監査法人、M&Aコンサル、税理士法人を経て2016年9月に独立開業しました。妻と息子の3人暮らし。海外サッカーと囲碁が大好き。英語、数学を勉強中。 ブログでは、税務・会計の話題や仕事術、日々の出来事などを気ままに綴ります。