
藤井聡太四段がデビュー後29連勝を達成。
歴代連勝記録の単独トップに立ちました。
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藤井四段とは何者か。
藤井四段は昨年10月にデビューした将棋棋士。
現在、14歳で、史上5人目の中学生プロ棋士です。
プロ入り前からその実力は広く知れ渡っていて、プロ棋士も多数参加する詰将棋解答選手権・チャンピオン戦に小学6年で優勝、その後3連覇を果たしています。
奨励会(プロ棋士の養成機関)では、通常数年かかる三段リーグをわずか1期で突破。
デビュー以来、負け無しで、昨日(H29.6.26)前人未到の29連勝を達成しました。
ここまで来ると、藤井四段を倒せる棋士は、はたして棋界にいるのかと思ってしまいます。
神谷八段のコメント
歴代連勝記録樹立ということで、羽生善治三冠ほか関係者からコメントが出ています。
その中で、個人的に注目を引いたのが神谷八段の次のコメント。
◆神谷広志八段
28という完全数は一番好きな数字ですのでそれが一位でなくなることは個人的に少々寂しいのですが、凡人がほぼ運だけで作った記録を天才が実力で抜いたというのは将棋界にとってとてもいいことだと思います。
藤井さんがこれからの数十年でどんな世界を見せてくれるのか、ファンの皆様とともに寿命の限り見続けていきたいです。
神谷八段はそれまで「28連勝」という連勝記録を持っていたのですが、それを今回、藤井四段が塗り替えました。
神谷八段らしく、自身の記録は「凡人がほぼ運だけで作った記録」と謙遜していますが、僕がおもしろいと思ったのは「28という完全数」という箇所。
これを読んで、ふとあることを思い出しました。
完全数とは?
完全数とは、Wikipediaによると、「自分自身を除く正の約数の和に等しくなる自然数」のこと。
たとえば、いちばん小さな完全数 6についてみてみると、約数は
1, 2, 3, 6
の4つ。
自分自身を除いた約数を足し合わせると
1+2+3=6
で自分自身に等しくなるので、これは完全数というわけです。
28は、6の次に小さな完全数です。
約数は、1, 2, 4, 7, 14, 28 の6つ。
同じように計算すると、
1+2+4+7+14=28
となるので、これも完全数ということが分かります。
ちなみに、28の次の完全数は496。
今発見されている完全数は全て偶数で、奇数の完全数は存在するのか、偶数の完全数は無限に存在するのか、はいまだに分かっていません。
博士の愛した数式
さて、神谷八段のコメントを読んで思い出したのが、小川洋子さんの名作『博士の愛した数式』です。
この小説の重要なプロットとして、完全数28が登場します。
登場人物は、家政婦の「私」と10歳の息子「ルート」、そして記憶が80分しかもたない老数学者「博士」の3人。
小説は、家政婦紹介会社の斡旋で、博士宅を訪問するところから始まります。
依頼者の記憶に障害があることに戸惑いながらも、 徐々に博士と「私」の間には信頼関係が生まれます。
ある日、博士から「私」の誕生日と、博士の腕時計に刻まれた番号(学長賞No)が「友愛数」であることを聞いたのがきっかけで、「私」は自然数の約数に興味を持ちます。
そこで、28が「完全数」であることを知るのが次の場面です。
「一つ、私の発見について、お話させていただいても構わないでしょうか」
(中略)
「28の約数を足すと28になるんです」
「ほう・・・」
博士は、アルティン予想についての記述の続きに、
28=1+2+4+7+14
と書いた。
「完全数だ」
「カンゼン、数」
揺るぎない言葉の響きを味わうように、私はつぶやいた。
「いちばん小さな完全数は6。6=1+2+3」
「あっ、本当だ。別に珍しくもないんですね」
「いいや、とんでもない。完全の意味を真に体現する、貴重な数字だよ」
出所:小川洋子著『博士の愛した数式』(新潮文庫)69-70頁
さらに、この完全数が、博士がファンである阪神タイガースの「ある投手」の背番号に一致するのが本書の重要な伏線になるのですが、これ以上はネタバレになるのでやめておきましょう。
ここからは想像ですが、神谷八段は本書を読んで、自身の連勝記録28が完全数であることをお知りになったのかな。
というわけで、なんだかまとまりのない内容ですが、藤井四段の連勝記録を受けて、ふと思い出したことをまとめてみました。
今日はこんなところで。
それではまた。
あとがき
■Editor’s Note
今日は終日事務所。午後からオンデマンド研修を受講予定。
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東京・世田谷区の藤村総合会計事務所
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