DCF法による計算の基本~有利子負債と非事業用資産

前回まででキャッシュフローの現在価値の計算が終わりました。

ここまでで計算された結果が「事業価値(Enterprise Value, EV)」に該当します。

ここから「株主資本価値」を計算するには、もうひと手間かける必要があります。

それが、非事業用資産と有利子負債の調整計算です。

事業価値(EV)とは

前回までで、計画期間のキャッシュフローおよび残存価値の割引現在価値を計算しました。

現在価値計算のもととなるキャッシュフローは、会社の事業活動を源泉として生み出されるものですので、それを割引計算した現在価値は、会社の事業価値を表します。

株主資本価値の算定方法

キャッシュフローの現在価値は事業価値を表しますが、私たちが求めたいのは株主資本価値です。

株主資本価値を求めるにはどうすればよいでしょうか。

それは以下の算式で求めることができます。

株主資本価値=事業価値+非事業用資産(時価)-有利子負債(時価)

 非事業用資産の加算

非事業用資産は、事業目的に使用されていない会社の資産のことで、たとえば以下のようなものが該当します。

  •  余剰現預金・・・定期預金、別段預金など
  • 遊休・不稼働資産・・・未利用の土地、回収懸念債権など
  • 投融資・・・有価証券、投資有価証券(関係会社株式以外)、貸付金など

これらの資産は、事業価値には含まれていませんが、会社が保有する資産であるため、 会社所有者である株主に帰属する価値を構成します。

したがって、株主資本価値を計算する際には、時価ベースに評価替えした非事業用資産の価値を事業価値に加算する必要があります。

有利子負債の控除

事業価値に非事業用資産の価値を加えたものは、企業全体の価値を表すという意味で、企業価値と呼ばれます。

企業価値は最終的に債権者か株主に帰属するため、企業価値から債権者の持分である「有利子負債」を控除した残りが「株主資本価値」となります。
 
有利子負債も時価ベースで控除する必要がありますが、一般的には簿価と時価が大きく乖離することは少ないので、時価=簿価とみなして計算することが多いです。

具体的な計算

それでは、前回の設例を用いて計算してみましょう。

前回の計算結果は以下のとおりです。

  1年目 2年目 3年目 残存価値
FCF 175 812 503 14,633
WACC 6.0% 6.0% 6.0% 6.0%
現価係数 0.943 0.890 0.840 0.840
FV 165 723 423 12,292
合計       13,603

非事業用資産500、有利子負債を4,000と仮定すると、株主資本価値は以下のように計算されます。

株主資本価値=事業価値13,603+非事業用資産500-有利子負債4,000=10,103
 
これで私たちの目的である株主資本価値が求まりました。
 

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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区で開業している公認会計士・税理士です。大手監査法人、M&Aコンサル、税理士法人を経て2016年9月に独立開業しました。妻と息子の3人暮らし。海外サッカーと囲碁が大好き。英語、数学を勉強中。 ブログでは、税務・会計の話題や仕事術、日々の出来事などを気ままに綴ります。